日本医科大学付属病院

形成外科・再建外科・美容外科

〒113-0022 東京都文京区千駄木1-1-5
TEL 03-3822-2131
FAX 03-5685-3076

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熱傷再建外来

熱傷再建外来

【熱傷再建外来について】
 日本医科大学形成外科では、当院救命救急センター設立時より広範囲熱傷で救命された患者様を受け入れており、植皮術による熱傷潰瘍創の閉鎖およびその後に生じる熱傷瘢痕拘縮の治療を数多く手がけております。平成8年4月からは、形成外科専門医1名が救命救急センターに出向しており広範囲熱傷に対して初期治療から関わっております。特に、熱傷後に生じる高度な瘢痕拘縮に対する皮弁再建に関しては、世界的にも評価されております(真皮下血管網皮弁を用いた頸部、腋窩、手背などの再建、2次皮弁を用いた眉毛、耳介、髭の再建など)。
 熱傷再建外来では、小範囲の熱傷から入院を必要とするものまで幅広く対応させていただいております。 また、熱傷後のきずあとやひきつれ(瘢痕拘縮)のご相談にも応じております。 熱傷瘢痕拘縮の治療は、さまざまな方法が行われていますが、できた場所や拘縮の程度によって最適な治療法が異なります。熱傷再建外来では、患者様個人個人にあった最適な治療法をご提案させていただきます。気軽にご相談ください。熱傷後の盛り上がった傷跡である、肥厚性瘢痕やケロイドは、ケロイド外来にて、目立つ傷跡については、きずあと外来でも対応させていただいております。

【熱傷とは?】
1. 熱傷の原因
 熱湯、火炎などの熱源に皮膚が接触する事により起こります。温度が高いほどやけどの程度はひどくなりますが、湯たんぽによる低温やけどなどは温度が低くても長時間接することにより、より深いやけどになることもあります。

2. 原因別の分類
 火炎によるもの(frame burn)、お湯によるもの(scald burn)、接触によるもの(contact burn)、電撃によるもの(electoric burn)などがあります。

3.熱傷深度による分類
 1) I度熱傷:表面が赤くなっているだけのもの。約1週間で治癒し、跡を残さないものです。
 2) II度熱傷:水疱ができたもの。以下の2つに分類します。
 a. 浅達性II度:水疱の下がピンク色をしています.痛みがあり、約2週間で上皮化します。薄い跡が残りますが、徐々に薄くなります。

浅達性II度熱傷:水疱を形成していますが、このまま水疱を温存して治療していけば約2週間で治癒します。

b. 深達性II度:水疱の下が、黄色く痛みがありません。神経まで死んでしまっているのです。表面の壊死組織がとれ、治るまで3-4週間かかります。やや盛り上がった傷跡を残すことが多いです。

3) III度熱傷:皮膚が全層焼けたものです。黒色から黄色の局面を呈します。皮膚が欠損し、そのままでは治らないものです。

II度熱傷:約3%のIII度熱傷で、受傷後2週間の状態です。このままでは上皮化しませんので、植皮術が必要となります。

4. 重症度分類
 おおよその目安として片側の手掌全体で体表面積の1%と計算します。一般的にII度30%以上、III度10%以上は、集中治療が必要となり救命センター等での治療が必要となります。II度15%以上、III度2%以上は入院治療の適応であり、それ以下のものでは、通常は外来通院での加療が可能ですが、顔面、手など特殊部位での熱傷は、入院加療が必要となる場合もあります。


【熱傷の治療】
1. 保存的治療
 浅達性II度熱傷までは、洗浄、消毒、軟膏療法などで保存的に治療できますが、ある程度の範囲以上の深達性II度〜III度熱傷は、皮膚移植などの手術を必要とすることが多いものです。

2. II度熱傷の治療経過
 熱傷を受けた部分の皮膚に水疱形成を伴うとII度熱傷になります。通常、小範囲をお湯などでやけどした場合は、流水で十分に冷やしてから、来院されるようにしてください。できた水疱は破らないようにした方が、良いでしょう。衣服などを無理にとって水疱を破かないように注意してください。病院に来られる場合にも、氷嚢等で適宜、患部を冷やしながらいらしてください。
 病院では、傷口を拝見して適切な治療を行います。通常、局部の洗浄、消毒、軟膏処置を行わせていただくことが多いと思われます。必要な場合は、化膿止めや痛み止めを処方いたします。病院から帰られた後も、1-2日間は、患部を適宜冷やした方が痛みが和らぎます。やけどが浅い場合は、通常4-5日くらいで、水疱が乾いてきます。その場合、水疱は自然に取れてきますので、無理に剥がさないでください。水疱が、10-14日くらいで、自然に剥がれピンク色の上皮化した皮膚ができていればやけどが浅い場合です。
 やけどがやや深い場合は、水疱が剥がれた後に上皮化がなく、黄色い壊死組織がついています。その場合に治療を継続し、軟膏治療やはさみ等で壊死組織を取っていく必要があります。上皮化が完成するまで、通常3-4週間かかり、引き連れや盛り上がった傷跡をことがあります。 熱傷の深さを、はじめから正確に診断することは困難で浅い部分と深い部分が混在する場合もあります。途中で、感染を伴った場合やけどが当初の予測より、深くなる場合もあります。最近、熱傷に対して安易に閉鎖療法を用いる施設がありますが、場合により感染のリスクが増す場合がありますので、注意が必要です。

3. 手術する場合
 明かなIII度熱傷の場合、II度深達性熱傷が大きい場合や手、顔面などの特殊部位に掛かっている場合には手術適応となります。 手術は麻酔下に専用のカッターで壊死組織を削り取り、正常組織を出した後、皮膚を採取する器械(デルマトーム)で取った皮膚片を移植します。手術後は、植皮を固定しますが、1週間程度の抗生剤投与と安静が必要です。感染を伴った場合や植皮片が動いてしまった場合は、植皮の生着が悪くなります。また、非常に深い火傷で腱や骨が露出したものは皮弁手術(血行を持たせたまま皮膚を移動する)を必要とします。

術前:左手の深達性II度熱傷を認めました。


術中:太ももから採取した薄い皮膚を貼りました。


術後:移植した皮膚が完全に生着しました。

【熱傷瘢痕拘縮】
 熱傷を受けた部位が手、肘などの関節部や顔面・頸部などに掛かっていた場合には、傷跡が治ってできた瘢痕がひきつれ(拘縮)を起こしてしますことがあります。 特に、関節の運動制限を伴う場合には、関節自体の拘縮も引き起こしてしまうことがあり、早期の手術的治療が必要とされます。手術方法は、ひきつれをジグザグに形成する(Z形成術)などの一般的な方法から、植皮や各種局所皮弁、遠隔皮弁、遊離皮弁等から症状に応じた適切な方法をご提案させていただきます。


指間の瘢痕拘縮:指の間にみずかきのような拘縮が生じたので、小さな切れ込みを入れて、指間の形成を行いました。

術後:指間のみずかきが消失しました。

【具体的な治療期間について】
 小範囲の局所皮弁や植皮手術であれば局所麻酔手術も可能です。ある程度以上の範囲の手術では、全身麻酔が必要です。入院は、手術前日にしていただきます。(月曜手術の場合は、金曜日入院)入院期間は、場合によりますが植皮手術、皮弁手術ともに10日-2週間前後の入院期間を要します。

【瘢痕癌について】
以前、やけどした跡が傷になってなかなか治らない場合には有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)という皮膚癌が発生しているおそれがあり注意が必要です。

【セカンドオピニオンについて】
やけどの傷跡がなかなか治らない、やけどの跡のひきつれ(拘縮)が目立つため困っている等がありましたら、いつでも外来にてご相談ください。(大木更一郎)