日本医科大学付属病院

形成外科・再建外科・美容外科

〒113-0022 東京都文京区千駄木1-1-5
TEL 03-3822-2131
FAX 03-5685-3076

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先天異常外来

先天異常外来

【どんな先天異常が対象ですか?】
  一番多いのは手足の指の異常です。余分にあったり(多指症)くっついていたり(合指症)が最も良くみられます。大きかったり(巨指症)足りなかったり(欠指症)もたまにあります。次が、顔の披裂でその多くは口唇裂(昔はみつくちとか兎唇といった)口蓋裂、稀に顔面裂(鼻裂や巨口症も含む)です。そして、耳が小さい小耳症もたまに来られます。普通は片側ですが稀に両側性もあり、アゴの発育が悪い場合もあります。
 そのほかには、胸の真ん中が凹んでいる漏斗胸、片側の胸の発育が悪い「ポーランド症候群」もあります。乳頭が多い副乳、おへそが出ている臍ヘルニア、外性器の異常(亀頭の出ない真性包茎など)、四肢の絞扼輪(輪ゴムで締めているような)もあります。なお、顔面と手足の異常は、全身的な先天異常の一部であることもありますから、脳、心臓、消化管の方も小児科の先生によく診察して貰って下さい。

【手術はいつ行いますか?】
 生命に関らない異常は、全身麻酔が比較的安全にかけられる年齢まで待機して頂きます。また、機能的発育(ことばや歩行など)との兼ね合いで時期を決めることも大切です。
 以下に、大体の目安を示します。口唇裂:3ヶ月、口蓋裂:1~1.5歳、多指(趾)症:1=2歳、合指症:1.5~2歳、小耳症:6~8歳。そのほかの先天異常は個々の状態によって異なります。

【専門のチームはありますか?】
 口蓋裂の場合は、手術までの期間哺乳床を作り装着して貰います。出生後、なるべく早くに小児歯科のチームに依頼するか来て頂きます。口唇裂、口蓋裂の手術後、言語訓練を船山美奈子先生(東京大学出身)にお願いしています。
  また、歯科矯正については東京歯科大学水道橋病院の谷田部賢一院長のチームとタイアップしています。口蓋裂児には浸出性中耳炎が合併することが多いので、当院の八木聰明耳鼻咽喉科教授のチームにお願いします。さらに、手術の傷跡を気にしなくて良いように、大きくなったらメイクアップセラピーをかづきれいこ先生のチームに習って頂くこともできます。また、小児期の手術時の管理は坂本篤裕教授はじめ専門の麻酔科医がついてくれますし、成長が正常かどうかなどについては小児科の福永慶隆小児科教授のチームが慎重に見守ってくれますので、何もご心配はいりません。

【口唇裂の手術はどういう方法でしますか?】
  当科の百束比古教授が30年かけて改良してきた方法で行います。それは、ミラード法、テニソン・ランダル法、スクーグ法という有名な3つの方法に、独自の改良を加えた方法です。図示すると以下のようになります。ここに示したのは不完全口唇裂の例です。鼻の奥まで割れている完全口唇裂でも、デザインは同じです。ただ、鼻の奥の土台の形成をしっかり行い、鼻の形も治しています。鼻の軟骨と皮膚はほとんどはがしません。



 
不全型口唇裂手術前 手術後5年

完全型口唇裂手術前 手術後3年

【口蓋裂はどのような方法で手術しますか?】
  前の方の硬い骨の部分から割れている場合と、後ろの骨の内部文だけが割れている場合とでは、手術の方法も違ってきます。しかし、大切なことは口蓋垂(のどちんこ)をきちんとつくって口蓋の縦方向の距離をしっかりと伸ばすことです。時に、前の方に穴が残って鼻から食べ物が出てくることがありますが、時期を見て閉鎖しますので、さほどご心配はいりません。

軟口蓋裂の手術前
(ファロー法のデザイン)
手術後
(穴がふさがっている)

【小耳症はどういう方法で手術しますか?】
  肋軟骨という肋骨と胸骨を連結している軟骨を3本位採取して、耳の形に組み立てて耳を創るところの皮膚の下に一旦埋め込みます。3ヶ月くらい経ってからこれを起こして耳の形が完成します。軟骨を埋め込むところに予めエクスパンダー(皮膚伸展器)を入れて皮膚を伸ばすこともありますが、現在ではあまりやりません。


手術前

肋軟骨を組み合わせてつくった耳フレーム

術後2年

肋軟骨を採取した部位はほとんど目立たない

【先天異常の子供を育てるにあたって注意点は何かありますか?】
 ご家族の理解と協力が一番です。先天異常のお子さんが生まれるには、お母さんが妊娠初期に放射線を浴びてないか、催奇形性のある薬剤を飲まなかったか等、一応伺っていますが、原因不明のことがほとんどです。遺伝性についても、確かにある種の先天異常は遺伝に関係があるらしいとはいわれますが、次のお子さんも同じと言うことはまずありません。昔は地域によっては先天異常に対して差別もあったようですが、今はその子の個性の一つくらいに受け取って、余り隠さずに育てる方が良いようです。人間とは公平にできているもので、先天異常のお子さんほど何か人に秀でた才能を発揮するようです。勉強にせよ、運動にせよ、そんな子を随分見てきました。明るい子に育てるよう環境を創るのが保護者の務めであると思いますし、私たちからも是非そうお願いします。(百束比古)