Nippon Medical School Graduate School of Medicine
Plastic, Reconstructive & Regenerative Surgery

〒113-8602
1-1-5 Sendagi Bunkyo Tokyo Japan

TEL 03-5814-6208
FAX 03-5685-3076

 
 

News

*当研究室の活動が、2009年度日本医科大学賞(研究部門)を受賞いたしました。

*当研究室および当院形成外科ケロイド外来の活動が、2010年日本医科大学奨学賞を受賞いたしました。

*2010年、International Scar Meeting in Tokyo 2010を主催いたしました。

*主任研究員小川が、ケロイドの一塩基多型解析の研究で、2011年日本創傷治癒学会研究奨励賞を受賞し、その論文がJournal of Investigative Dermatologyに掲載されました。

*研究室長赤石が、米国スタンフォード大学で行った研究が、Nature Medicineに掲載されました。

*主任研究員小川が、米国ハーバード大学で行った軟骨再生の研究が、2012年ハーバード大学ブリガムウィメンズ病院バイオメディカル研究所筋骨格研究センターの最優秀論文賞を受賞いたしました。

*当研究室の、ケロイドと高血圧の関連に関する研究が、2012年日本医科大学学会総会の最優秀演題賞を受賞いたしました(Arima J, Ogawa R, Iimura T, Azuma H, Hyakusoku H. Relationship between Keloid and Hypertension. J Nippon Med Sch. 2012;79(6):494-5)。

*われわれの研究室のテーマである「メカノセラピー(Mechanotherapy)」を、従来の理学療法やリハビリテーションといった狭義の意味ではなく、臓器・組織・細胞さらには分子レベルで物理的環境を制御する新しい医療である、という意味に再定義した論文が、Trends in Molecular Medicineに掲載されました。黄(Huang)客員研究員、米国ハーバード大学、オーストリアの研究グループとの国際的協力関係から生まれた重要な論文です。本論文は、この雑誌のTope 10 articles in 2014に選ばれました。

*佐野研究員による爪とメカノバイオロジーの研究がDermatologyに掲載されました。

*当研究室の活動が、意気健康 Vol.6で報告されました。

*AMED-CREST(革新的先端研究開発支援事業のユニットタイプ)に、研究課題「周期的圧刺激によって制御される血管新生のシグナル伝達機構の解明-非接触超音波を用いた創傷治療法の開発をめざして-」が採択されました(http://www.amed.go.jp/koubo/010720170310_kettei_kadai03.html)。

 

研究室の理念と課題


  • 当研究室は、斬新な概念・方法・技術に基づいて、医療に貢献することを目的としています。
  • 目的を達成するために、大学などの教育・研究機関、医療機関、また民間企業の垣根を越えて、志を同じくする人の繋がりを大切にしています。
  • 目下の目標として、臓器・組織・細胞の生命活動が、物理的環境によって制御されていること(メカノバイオロジー)に着目し、物理的環境をコントロールする医療(メカノセラピー)を開発しています。
  • 従来、運動器に物理的刺激を加えてその障害を克服する医療は、理学療法・リハビリテーション・フィジカルセラピーと言われてきました。この概念をさらに広げ、種々の臓器・組織・細胞さらには分子レベルで物理的環境を制御し、創傷や欠損組織を修復・再生させることを目指しています。
  • さらに、物理的環境の制御が困難となることで生じる疾患(ケロイドなど)の原因究明・治療法開発を行っています。

メカノセラピー

 

研究員紹介


主任研究員 (Principal Investigator: PI)

小川令

小川令(おがわれい, Rei Ogawa, M.D., Ph.D., F.A.C.S.)

URL<http://www010.upp.so-net.ne.jp/r-ogawa/jp/>

略歴

1999年 日本医科大学卒業
1999年  同大学 形成外科入局
2005年 同大学 大学院修了
2005年 同大学 形成外科 助手
2005年  会津中央病院 形成外科 部長
2006年  日本医科大学 形成外科 講師
2006年  同大学 付属病院 形成外科・美容外科 医局長
2007年 米国ハーバード大学ブリガムウィメンズ病院形成外科研究員 
2009年  日本医科大学 形成外科 准教授
2009年  同大学付属病院 形成外科・美容外科 医局長
2013年-現在  東京大学形成外科客員講師(兼任)
2015年-現在    日本医科大学 形成外科 主任教授
 

研究室長 (Laboratory Manager)

赤石諭史

赤石諭史(あかいしさとし, Satoshi Akaishi, M.D., Ph.D.)

略歴

2000年 日本医科大学卒業
2000年  同大学 高度救命救急センター 入局
2002年 同大学 形成外科 入局
2005年  会津中央病院 形成外科 部長
2006年 日本医科大学 形成外科 助手
2007年 同大学付属病院 形成外科・美容外科 医局長
2009年 日本医科大学 形成外科 講師
2010年 米国スタンフォード大学 形成外科研究員
2012年 日本医科大学 形成外科 講師
2017年-現在   日本医科大学 形成外科 准教授

 

客員研究員 (Visiting Supervisor )

Chenyu Huang

Chenyu Huang(チェンユー・ファン, Chenyu Huang, M.D., Ph.D.)

略歴

1999年 中国首都医科大学卒業(中国・北京)
2002年  中国北京积水潭医院熱傷形成再建外科レジデント
2004年 中国清华大学北京协和医学院形成外科レジデント
2007年 中国煤炭总医院形成外科助手
2009年  日本医科大学形成外科研究員
2011年 中国煤炭总医院形成外科講師
2012年-現在   米国ハーバード大学ブリガムウィメンズ病院形成外科研究員

 

小山太郎

小山太郎(こやまたろう, Taro Koyama, M.D., Ph.D.)

略歴

2001年 慶応義塾大学医学部卒業
2001年  同大学形成外科入局
2007年 同大学大学院修了
2007年 米国ハーバード大学ブリガムウィメンズ病院形成外科研究員
2009年  済生会中央病院形成外科
2010年-現在 医療法人社団ウェルエイジング 城西クリニック

 

研究員(Research Fellow)

青木雅代

青木雅代(あおきまさよ, Masayo Aoki, M.D.)

略歴

2002年 弘前大学医学部卒業
2002年  同大学付属病院形成外科研修医
2004年 日本医科大学形成外科入局
2008年-現在 日本医科大学大学院形成再建再生医学

 

土肥輝之

土肥輝之(どひてるゆき, Teruyuki Dohi, M.D.)

略歴

2005年 日本医科大学医学部卒業
2005年  日本医科大学付属病院初期臨床研修医
2007年 日本医科大学付属病院専修医
2007年 日本医科大学形成外科入局
2009年  会津中央病院形成外科
2009年 日本医科大学形成外科助教
2010年-現在 日本医科大学大学院形成再建再生医学

 

佐野仁美

佐野仁美(さのひとみ, Hitomi Sano, M.D.)

略歴

2005年 筑波大学 医学部卒業
2005年  東京大学医学部付属病院 初期臨床研修医
2007年 東京大学 形成外科 入局
2007年 埼玉医科大学 形成外科 助教
2009年  福島県立医科大学 形成外科 後期臨床研修医
2010年 東京大学 大学院
2017年-現在 日本医科大学 形成外科 講師


 

有馬樹里

有馬樹里(ありまじゅり, Juri Arima, M.D.)

略歴

2009年 獨協医科大学医学部卒業
2009年 静岡県立総合病院初期臨床研修医
2011年 日本医科大学付属病院専修医 
2011年 日本医科大学形成外科入局

 

元研究員

河邊京子 日本医科大学 形成外科 大学院生
宮崎邦夫 自治医科大学 形成外科

 

元留学生

Hakan Orbay, M.D., Ph.D. 
2008.4.1 – 2012.3.30
トルコ共和国 Ankara 大学 形成外科
Caglayan Yagmur, M.D.
2009.6.29 – 2009.7.30
トルコ共和国 Ondokuz Mayis 大学 形成外科

 

 

研究内容


 三次元構造を有する地球上の生物は、地球の重力や大気圧、水圧をはじめとする様々な物理的な力に影響を受けて成り立っています。地球上で生命が誕生し、多細胞生物が生まれ増殖する際にも、物理的刺激をはじめとした環境が大きな影響を与えたと考えられています。

 われわれヒトの体は、骨格を形成する骨や軟骨、筋肉などは体重を支えて成長し、それに伴って体表面の皮膚は伸展します。日々、心臓は鼓動し、血液は血管を流れ、肺は呼吸で動きます。日常の動作によっても絶えず皮膚をはじめとする体の各部位は伸展・収縮を繰り返し、物理的刺激を受けています。この物理的刺激があるからこそ、体の各場所の臓器・組織や細胞が今の形態・機能を維持していると言っても過言ではありません。

 これらの現象を細胞レベルで見ると、細胞自体も物理的な力を受けて形態学的に変化したり、細胞内外での物質の移動が生じています。これによって細胞の遺伝子発現が調節され、さまざまな役割を担っていることがわかってきました。これを研究する学問が、メカノバイオロジー(Mechanobiology)です。物理生物学や細胞力学、機械生物学といった日本語を使うこともあります。メカノバイオロジーを研究することによって、特にケロイドをはじめとする種々の皮膚疾患が解明できる可能性をJournal of Cellular and Molecular Medicineで示しました。また病気の解明だけでなく、傷を治したり傷跡を綺麗にしたり(創傷治癒の促進および瘢痕治療)、幹細胞を用いて三次元形態の組織を再生したり(三次元組織再生・再生医療)、さらには爪や毛髪の再生を行い、美容医療や抗加齢医療への応用も研究しています。

 われわれの研究室では、メカノバイオロジーの知識や研究結果を元に、それを臨床に応用することを、「メカノセラピー(Mechanotherapy)」と定義し、Trends in Molecular Medicineという雑誌に発表しました。メカノセラピーというと、海外ではリハビリテーションや理学療法といったことを意味します。しかし、従来のメカノセラピーが、筋肉などの運動器のみに物理的刺激を与えてリハビリテーションを行うことを意味しているのに対し、われわれが定義した「メカノセラピー」とは、物理的刺激を臓器・組織はもとより、あらゆる細胞や分子に与えて医療に応用することを意味しています。この新しい「メカノセラピー」を新たな医学の一分野として位置づけて医学に貢献するために日々、臨床のための基礎研究を行っています。 地球上で進化した生物にとって、物理的刺激やpHなどの環境因子は必須の刺激であったはずであり、われわれの体は、物理的刺激を含めた環境因子によって形成され、維持されていると考えることができます。宇宙飛行士が地球に帰還すると、骨や軟骨が吸収されて歩けなくなることが良い例と思います。 これからメカノバイオロジーやメカノセラピーがますます注目されるのではないでしょうか。

細胞が「力」を感じるしくみ
細胞が「力」を感じるしくみ(Mechanosensors)

I:細胞, II:細胞外基質, III:細胞接着分子
A: 機械感受性イオンチャネル, B: インテグリン, C: アクチンフィラメント
細胞は、イオンチャネルや細胞骨格、細胞接着分子などのメカノセンサー(メカノレセプター)を通じて外部からの力学的刺激に応答し、種々の生命活動を制御していると考えられている。

Ogawa R. Keloid and hypertrophic scarring may result from a mechanoreceptor or mechanosensitive nociceptor disorder. Med Hypotheses. 2008 Oct;71(4):493-500.

細胞が「力」を感じたあとに、遺伝子発現が変化するしくみ
細胞が「力」を感じたあとに、遺伝子発現が変化するしくみ
(メカノシグナル伝達経路:Mechanosignaling pathways)

細胞が、イオンチャネルや細胞骨格、細胞接着分子などのメカノセンサー(メカノレセプター)を通じて外部からの力学的刺激を感じると、それに伴って、種々のシグナル伝達経路が活性化されたり、抑制されたりすることがわかってきた。これが、多くの疾患の原因に関係していることがわかってきた。

Huang C, Ogawa R. Fibroproliferative disorders and their mechanobiology. Connect Tissue Res. 2012;53(3):187-96.

Huang C, Holfeld J, Schaden W, Orgill D, Ogawa R. Mechanotherapy: revisiting physical therapy and recruiting mechanobiology for a new era in medicine. Trends Mol Med. 2013.

 

皮膚再生・創傷治癒促進を目的とした物理的刺激治療(メカノセラピー)の開発

 皮膚の傷には、新しくできた傷や、なかなか治癒しない古い傷があります。ふつうの切り傷や擦り傷といった浅くて小さい傷は、清潔にしておけば綺麗に治りますが、深くて大きな傷はなかなか治らないことがあります。特に、糖尿病や動脈硬化症、自己免疫疾患などを合併していると、傷の治りが悪くなります。このような、なかなか治らない傷は難治性潰瘍といいますが、床ずれ(褥瘡)や足壊疽などはその代表的なものです。

 なかなか治らない傷に物理的刺激を加えて傷を早く直すメカノセラピーとして知られているのが、陰圧閉鎖療法や体外衝撃波治療です。これらすでに臨床に用いられている機器の知られていない作用機序を研究し、新しい治療装置の開発に産学連携で取り組んでいます。

陰圧閉鎖療法と体外衝撃波治療1陰圧閉鎖療法と体外衝撃波治療2
陰圧閉鎖療法と体外衝撃波治療(Negative Pressure Wound Therapy and Extracorporeal Shock Wave Therapy)
 

陰圧閉鎖療法や体外衝撃波治療は、物理的刺激を創に加えるメカノセラピーの典型例である。創の細胞や細胞環境が刺激され、メカノシグナル伝達経路を介し、創傷治癒が促進すると考えられている。

Qureshi AA, Ross KM, Ogawa R, Orgill DP. Shock wave therapy in wound healing. Plast Reconstr Surg. 2011 Dec;128(6):721e-7e.

Erba P, Ogawa R, Ackermann M, Adini A, Miele LF, Dastouri P, Helm D, Mentzer SJ, D'Amato RJ, Murphy GF, Konerding MA, Orgill DP. Angiogenesis in wounds treated by microdeformational wound therapy. Ann Surg. 2011 Feb;253(2):402-9.

 

皮膚付属器(爪・髪)の再生治療を目的とした物理的刺激治療(メカノセラピー)の開発

 当研究室の佐野仁美研究生により、爪も把持や歩行といった物理的刺激によってその形態を維持している可能性が示されました。たとえば匙状爪は貧血や薬剤の使用が発症の契機となりますが、貧血や薬剤自体は爪の菲薄化・脆弱化に関与するのみで、匙状変形は物理的刺激に耐えられなくなったため生じると考えられます。また弯曲爪や陥入爪は足に合わない靴の使用、外傷、深爪、遺伝が原因と考えられてきましたが、靴の使用の機会が少ない寝たきりの患者でも高い頻度で経験され、歩行できなくなった後に発症する患者も少なくありません。歩行が不自由な患者では有意に爪の曲率が高くなり、その程度は、歩行していない期間が長くなるほど高度な傾向にあることを発見しました。また、脳血管障害や骨折などで一定期間、片側荷重歩行であった患者では、荷重のかからない患側で有意に高い曲率がみられることが認められました。すなわち、爪の形態は、歩行や立位によって爪に体重がかかることにより、通常の形態を保てている可能性があると考えています。

 また、スカルプDで有名なアンファー株式会社との共同研究で、頭皮に物理的刺激を加えることで発毛を促進する研究に取り組んでいます。毛乳頭細胞に物理的刺激を加えると、発毛を促進する種々の遺伝子が発現することを発見して報告しました。

 これらの知見から、皮膚付属器の再生治療を目指して、治療方法論・治療機器の開発に産学連携で取り組んでいます。

メカノバイオロジー的手法を用いた爪と髪の再生1メカノバイオロジー的手法を用いた爪と髪の再生2
メカノバイオロジー的手法を用いた爪と髪の再生(Nail and Hair Regeneration by Mechanobiology)
 

爪は体重がかかることにより、その形態を維持していると考えられる。よって、寝たきりや加重がかけられない患者では、いわゆる巻き爪(弯曲爪)や陥入爪といった状態を生じやすいことがわかってきた。

また、右図に示すように、毛乳頭細胞に伸展刺激を加えると、メカノシグナル伝達経路を介し、発毛促進に関連する遺伝子発現が増強することを明らかにしてきた。

Sano HOgawa R. Role of Mechanical Forces in Hand Nail Configuration Asymmetry in Hemiplegia: An Analysis of Four Hundred Thumb Nails. Dermatology. 2013 Jun 22.

 

幹細胞に物理的刺激を負荷した骨・軟骨再生

 たとえば膝の関節軟骨は関節包内の関節液から加重と可動により高い静水圧を受けています。全体重が二つの膝の関節包にかかるため、その静水圧は約30気圧(深海300mと同じ)とされています。この関節軟骨を体外で再生しようと考えた場合、2次元の培養皿で大気圧下に培養したとしても、同等のものができるとは到底考えられません。よって、静水圧をはじめとする物理的刺激を付加するバイオリアクターやバイオプロセッサーといった装置を利用し、組織再生を行う必要があるでしょう。われわれの研究室では、ハーバード大学ブリガムウィメンズ病院整形外科の水野秀一博士と連携し、適切な静水圧下で培養した再生軟骨では、基質の産生量が増加することを示してきました。さらに、静水圧を負荷した脂肪組織由来幹細胞を用い、軟骨を再生する研究を行っています。

 この静水圧は軟骨だけでなく、骨の再生をも促すことをわれわれは世界で初めて証明しました。骨髄由来幹細胞を、静水圧を負荷するバイオプロセッサーで培養すると、大気圧下で培養したものと比較して、優位に細胞外基質の産生増加が認められました。この研究はたいへん興味深いものです。というのは、骨は生体内で、軟骨ほど水圧を感じる環境にはないはずですが、この研究から骨芽細胞は水圧を感じてそれに反応することがわかりました。すなわち、体のあらゆる細胞は、物理学的刺激に応答し、種々の変化を生じるキャパシティーを持っていると考えられます。これを利用するのが未来のメカノセラピーであると信じています。

脂肪組織由来幹細胞に静水圧を負荷した軟骨再生1脂肪組織由来幹細胞に静水圧を負荷した軟骨再生2
脂肪組織由来幹細胞に静水圧を負荷した軟骨再生
(Cartilage Regeneration using Hydrostatic Pressure - Loaded Adipose-Derived Stem Cells )

 

小川が、米国ハーバード大学において、ブリガムウィメンズ病院整形外科の水野秀一博士と行った研究。脂肪組織由来幹細胞を、TGFβを含んだ培地にて軟骨細胞に分化誘導し、コラーゲンスポンジにて三次元培養した後、力学的刺激の一つである静水圧を加えると、加えなかったものに比べて、質の高い軟骨が再生されることを証明した。

Mizuno S, Ogawa R. Using changes in hydrostatic and osmotic pressure to manipulate metabolic function in chondrocytes. Am J Physiol Cell Physiol. 2011 Jun;300(6):C1234-45.

Ogawa R, Mizuno S. Cartilage regeneration using adipose-derived stem cells. Curr Stem Cell Res Ther. 2010 Jun;5(2):129-32.

Ogawa R, Mizuno S, Murphy GF, Orgill DP. The effect of hydrostatic pressure on three-dimensional chondroinduction of human adipose-derived stem cells. Tissue Eng Part A. 2009 Oct;15(10):2937-45.

骨髄由来間葉系幹細胞に静水圧を負荷した骨再生1 骨髄由来間葉系幹細胞に静水圧を負荷した骨再生2骨髄由来間葉系幹細胞に静水圧を負荷した骨再生3
骨髄由来間葉系幹細胞に静水圧を負荷した骨再生
(Bone Regeneration using Hydrostatic Pressure - Loaded Bone Marrow - Derived Mesenchymal Stem Cells)

 

骨髄由来間葉系幹細胞を、ミネラルを含んだ培地にて骨芽細胞に分化誘導し、ハイドロキシアパタイトにて三次元培養した後、力学的刺激の一つである静水圧を加えると、加えなかったものに比べて、質の高い骨が再生される。骨芽細胞が静水圧に応答することを世界で初めて証明した。

Huang C, Ogawa R. Effect of hydrostatic pressure on bone regeneration using human mesenchymal stem cells.Tissue Eng Part A. 2012 Oct;18(19-20):2106-13.

Huang COgawa R. Mechanotransduction in bone repair and regeneration. FASEB J. 2010 Oct;24(10):3625-32.

 

ケロイド・肥厚性瘢痕・瘢痕拘縮・皮膚線維増殖性疾患を含む瘢痕形成機序の解明・治療法開発(Less-Scar Wound Healing: 傷あとの少ない創傷治癒)

 ケロイドや肥厚性瘢痕は、傷が修復される創傷治癒過程の最終段階である「線維化」が異常に生じる疾患です。みみず腫れのように瘢痕が赤く盛り上がり、慢性的に瘢痕で炎症が続きます。特にケロイドではその炎症がたいへん強く、正常の皮膚にも広がっていく特徴を持っています。たいへん興味深いことに、このケロイドはヒトにしかできないことがわかっています。遺伝子が97%以上同じといわれているチンパンジーですら、ケロイドができません。また人種によってケロイドの発生率が異なることも知られています。また家族が皆、ケロイドや肥厚性瘢痕を生じやすい体質である、ということも稀ではありません。

 われわれの研究室の瘢痕における物理的刺激の解析(メカノバイオロジー解析、メカノシグナル伝達経路の解析)、コンピューターシミュレーションを用いたケロイドの成因の解析は世界的に評価され、神経原性炎症説、メカノセンサー説、その他の仮説がその成因として注目されています。これらの研究の成果から、われわれはケロイド・肥厚性瘢痕といった一連の異常瘢痕は、一塩基多型などの「遺伝因子」、高血圧や性ホルモンなど液性因子を含む「全身因子」、物理的刺激、特に張力などの「局所因子」の三つが重なった多因子疾患であると考えています。

 当研究室の主任研究員である小川が2007年から2009年まで研究員として在籍しており、また現在、黄晨昱客員研究員が仕事をしている米国ハーバード大学ブリガムウィメンズ病院形成外科の組織工学・創傷治癒研究室、また研究室長である赤石が2010年から2012年まで研究員として仕事をしていた、米国スタンフォード大学形成外科をはじめとして、世界中の各医療機関と、瘢痕の成因解明、新しい治療法開発を目的として、多くの共同研究をおこなっています。赤石がスタンフォード大学で行った瘢痕の動物モデルの研究は、Nature MedicineやJournal of Investigative Dermatologyに掲載されました。

 われわれの研究室は、日本の瘢痕・ケロイド治療研究会の中核を担ってきました。この研究会では日本中の知識を総動員して、瘢痕・ケロイドの治療法開発に向けた討論を行い、Scar Meetingを通じて世界に情報を発信し続けています。Scar Meetingでは、当研究室の主任研究員である小川がBoard Memberとして世界の瘢痕治療のリーダーたちと世界的な活動を行っています。2010年には東京にてInternational Scar Meeting in Tokyo 2010を開催し、日本が世界に先駆けて先駆的な治療法を開発している成果を示しました。ヒトでは胎児創傷治癒のようにScar-less Wound Heaingは困難ですが、Less-Scar Wound Healingを目指して努力しています。

ケロイド周囲皮膚における張力のコンピューターシミュレーション
ケロイド周囲皮膚における張力のコンピューターシミュレーション
(Computer Simulation of Skin Tension Surrounding Scars)

 

ケロイドにかかる皮膚張力のコンピューター解析。ケロイド周囲の皮膚にかかる力が大きくなっていることがわかる。この物理的刺激によって皮膚は絶えず炎症を生じ、発赤と隆起を認め、蝶形やダンベル形になっていくと考えている。

Akaishi S, Akimoto M, Ogawa R, Hyakusoku H. The relationship between keloid growth pattern and stretching tension: visual analysis using the finite element method. Ann Plast Surg 60: 445-451, 2008.

ケロイドにおける神経原性炎症仮説の模式図
ケロイドにおける神経原性炎症仮説の模式図 (Neurogenic Inflammation Hypotheses)
 

皮膚の張力をはじめとする力学的刺激を神経線維が感じ、そこから放出される神経伝達物質が原因となってケロイドや肥厚性瘢痕が生じている可能性を考えて研究している。

Akaishi SOgawa R, Hyakusoku H. Keloid and hypertrophic scar: neurogenic inflammation hypotheses. Med Hypotheses. 2008;71(1):32-8.

日本医科大学付属病院形成外科・美容外科におけるケロイド治療のデータ
日本医科大学付属病院形成外科・美容外科におけるケロイド治療のデータ
(Clinical Data of Keloid Treatments at Nippon Medical School Hospital)

われわれは難治性のケロイドや肥厚性瘢痕に対して手術による切除および術後放射線治療を実践してきた。部位別に異なる線量を照射するプロトコルを世界で初めて報告し、海外の教科書にも掲載されている。

Ogawa R, Miyashita T, Hyakusoku H, Akaishi S, Kuribayashi S, Tateno A. Postoperative radiation protocol for keloids and hypertrophic scars: statistical analysis of 370 sites followed for over 18 months. Ann Plast Surg. 2007 Dec;59(6):688-91.

Ogawa R. The most current algorithms for the treatment and prevention of hypertrophic scars and keloids. Plast Reconstr Surg. 2010 Feb;125(2):557-68.

肥厚性瘢痕動物モデルにおけるFAK解析
肥厚性瘢痕動物モデルにおけるFAK解析
(Analysis of Focal Adhesion Kinase on Animal Models of Hypertrophic Scars)

 

米国スタンフォード大学において、赤石が、肥厚性瘢痕の動物モデルにおいてFocal Adhesion Kinase (FAK) が重要な意味をもっていることを研究した。

Wong VW, Rustad KC, Akaishi S, Sorkin M, Glotzbach JP, Januszyk M, Nelson ER, Levi K, Paterno J, Vial IN, Kuang AA, Longaker MT, Gurtner GC. Focal adhesion kinase links mechanical force to skin fibrosis via inflammatory signaling. Nat Med. 2011 Dec 11;18(1):148-52. doi: 10.1038/nm.2574. PubMed PMID: 22157678.

Wong VW, Akaishi S, Longaker MT, Gurtner GC. Pushing back: wound mechanotransduction in repair and regeneration. J Invest Dermatol. 2011 Nov;131(11):2186-96.

各部位における皮膚の伸展・収縮率の計測1各部位における皮膚の伸展・収縮率の計測2
各部位における皮膚の伸展・収縮率の計測(Measurement of Skin Stretching / Contraction Rates)

ニチバン株式会社の研究開発部の協力を得て、体の各部位によって、皮膚の伸展がどの程度異なるか計測した論文。ケロイドの好発部位との関連性を世界で初めて示した。

Ogawa R, Okai K, Tokumura F, Mori K, Ohmori Y, Huang C, Hyakusoku H, Akaishi S. The relationship between skin stretching/contraction and pathologic scarring: the important role of mechanical forces in keloid generation. Wound Repair Regen. 2012 Mar-Apr;20(2):149-57.

メカノバイオロジーを利用したメカノセラピーによる、ケロイド・肥厚性瘢痕治療
メカノバイオロジーを利用したメカノセラピーによる、ケロイド・肥厚性瘢痕治療
メカノバイオロジーを利用したメカノセラピーによる、ケロイド・肥厚性瘢痕治療
メカノバイオロジーを利用したメカノセラピーによる、ケロイド・肥厚性瘢痕治療
(Keloid and Hypertrophic Scar Treatments by Mechanotherapy)

 

当院形成外科では、ケロイド外来・きずあと外来を行っている。ケロイドや肥厚性瘢痕は、傷に力がかかりすぎることが問題となる。そこで、傷からどのようにして物理的刺激を取り除くか、という全く新しい観点で、種々の外科的治療・保存的治療を行い、その結果は世界で評価されている。ケロイドは従来、治らない疾患と考えられてきたが、現在では治療出来る疾患と考えられるようになった。さらに低侵襲な治療法確立を目指して研究を行っている。

Orgill DP, Ogawa R. Current methods of burn reconstruction. Plast Reconstr Surg. 2013 May;131(5):827e-36e. 

Yagmur C, Guneren E, Kefeli M, Ogawa R. The effect of surgical denervation on  prevention of excessive dermal
scarring: a study on rabbit ear hypertrophic scar model. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2011 Oct;64(10):1359-65.

Kuribayashi S, Miyashita T, Ozawa Y, Iwano M, Ogawa RAkaishi SDohi T, Hyakusoku H, Kumita S.
Post-keloidectomy irradiation using high-dose-rate superficial brachytherapy. J Radiat Res. 2011;52(3):365-8. 

Akaishi S, Akimoto M, Hyakusoku H, Ogawa R. The tensile reduction effects of silicone gel sheeting.
Plast Reconstr Surg. 2010 Aug;126(2):109e-11e.

Ogawa R. The most current algorithms for the treatment and prevention of hypertrophic scars and keloids.
Plast Reconstr Surg. 2010 Feb;125(2):557-68.

Ogawa R, Miyashita T, Hyakusoku H, Akaishi S, Kuribayashi S, Tateno A. Postoperative radiation protocol for
keloids and hypertrophic scars: statistical analysis of 370 sites followed for over 18 months. Ann Plast Surg.
2007 Dec;59(6):688-91.